2020年映画6本目 天才作家の妻-40年目の真実-
2020年映画6本目 天才作家の妻-40年目の真実-
監督:ビョルン・ルンゲ
受賞歴:
アカデミー賞91回(主演男優賞・音響賞・編集賞・音響編集賞)
ゴールデングローブ賞76回(主演女優賞)
STORY
ある朝、現代文学の巨匠として名高いジョセフ・キャッスルマンとその妻ジョーンの元に、
ノーベル文学賞受賞の電話がかかってくる。
念願だった受賞の吉報を受け、二人は喜んだ。
授賞式に出席するため、夫妻は作家の息子デビッドとともにスウェーデンのストックホルムを訪れる。
遠慮の無い言動を繰り返すジョセフの言動に母と息子は振り回されていた。
そんな時、ジョーンは記者のナサニエルと出会う。
ジョセフの伝記本を書こうとしているナサエルは夫婦の過去を知っており、ある疑念を抱いていた。
それは、作家としては二流だったジョセフが、ジョーンと結婚後に次々と傑作を世に送り出してきたこと・・・。
そして問いただす、「このまま”影”として彼の伝説を作り続けるのか・・・」と。
複雑な感情をひた隠し、授賞式へと向かうジョセフとジョーン。
ジョーンはスポットライトを浴びる夫の陰でいつものように”作家の妻”を装うのか。それとも自分の人生を取り戻すために、ひた隠しにしてきた”秘密”を世に明かすのか・・・。
<レビュー>
老夫婦の40年にわたる物語なので、当然回想シーンがある。
若き日のジョーン(グレン・クローズ)を演じたのはアニー・スターク。
目元とか、グレン・クローズによく似た女優さんだな~、オーディションで選ぶのも大変だ、なんて思っていたら、なんと実の娘!
2001年に女優デビューしている1988年生まれの31歳。
既に母グレン・クローズとは共演済みらしい。
映画の舞台設定はノーベル賞の授賞式だが、どこまで忠実に再現しているのかは分からないが、その舞台裏が見られるのは面白い。
日本人受賞者も毎年のように出ており、その都度テレビで報道されており、華やかなのは何となく伝わっては来るが、その実態を見ることはできないので、この映画で疑似体験できるのではないか。
やはり秀逸なのが、グレン・クローズとジョナサン・プライスの存在。
主演なので、それはそうだが・・・。
グレン・クローズはこの映画で実に7回目のオスカーノミネート。
残念ながら受賞とはならなかったが、ジョーンの頭に巡る、夫への愛情、嫉妬、憎悪を見事に表現していた。
そしてジョナサン・プライス。
ジョセフはストックホルムでの受賞式の現地でも若い女にうつつを抜かす浮気者のクソッタレだが、そのクソッタレ夫ぶりが見事だ。
何かが書き記してあるノートのページをめくり、白紙のページを見つめた後に息子に言う。
「すべてを話すわ」
彼女はどんな真実を子供たちに話したのだろうか。
エンドロールで流れる音楽が抑揚を抑え、
揺れるジョーンの心情を表現していた。
原題はThe wife。
基本的に邦題は好きではないが、今回は悪くはない気がする。
でも、必ずと言って良いほどサブタイトルを付けるのは、何かのお決まりなんだろうか?