2020年映画 26本目 フェイス/オフ
2020年映画 26本目 フェイス/オフ
監督:ジョン・ウー
主演:ニコラス・ケイジ、ジョン・トラヴォルタ
公開:1997年
制作:アメリカ
<ストーリー>
かつて冷酷無比のテロリスト、キャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)に狙撃され、
一緒にいた幼い息子を失ったショーン・アーチャー(ジョン・トラヴォルタ)。
その後6年間、執拗にキャスターを追いかけたショーンは、
遂に飛行場からチャーター機で発とうとしていたキャスターを追い詰める。
激しい追撃戦の中、キャスターは意識不明の重体。
遂にショーンは宿敵を捉える。
しかし、キャスターはLAのどこかに強力な細菌兵器を仕掛けていたのだ。
爆弾の在りかを知るのはキャスターとともに捉え、
刑務所に送られていた弟のポラックス。
ポラックスは兄以外の人間は全く信用せず、
取り調べても爆弾の在りかを聞き出せずにいた。
そんなショーンにFBIの特殊班が近づき、ある提案をする。
それは特殊な手術を受け、キャスターに成りすまして刑務所に入り、
ポラックスから爆弾の在りかを聞き出すというものだった。
その特殊な手術とは、最新の技術で、
顔の皮膚を移植し、髪質を変え、体型を変え、声を変えるというものだった。
最初は断ったショーンだが、捜査が行き詰まり特殊班に協力することを決断する。
このことを知っているのは、
ドクター・特殊班の捜査員・相棒のティト・ビオンディの3人。
家族は勿論、他の同僚にも内密だった。
キャスターを捕まえ、デスクワークに移動し、
家族の時間を大切にすると妻に約束していたショーンだが、
もう一度だけ捜査に加わると妻のイブに伝えた。
イブはショックを受け、ショーンを突き放した。
手術終了後、包帯を外され鏡を見ると、
そこには息子を殺した憎きテロリストの顔があった。
ショーンは錯乱したが、ティトがなだめた。
そしていよいよポラックスが収監されているエアワン刑務所に収監され、
極秘任務が開始された。
味方はいない。
そして刑務所にはキャスターの顔に怯える囚人たち。
キャスターという大物の登場にいきり立つ刑務官たち。
キャスターの様に横柄に振る舞い、
弟の信用を得たキャスターは遂に爆弾の在りかを聞き出すことに成功する。
予定通り、FBIが迎えに来たのだが、
扉の向こうから現れたのは・・・ショーン・アーチャーの姿をした男だった。
<レビュー>
ジョン・ウーの全てが詰まった作品だ!
二丁拳銃。
白い鳩。
スローモーション。
メキシカンスタンドオフ。
ジョン・ウーのお約束だ。
これでお腹が一杯になりそうだ。
そして映画のテーマが面白い。
「顔を入れ替えて潜入捜査する?」
まさに顔を剥がして入れ替えるわけだ。
善が悪の顔を被り、悪が善の顔を被る。
善と悪が入れ替わった時、何を失い、何を奪い、そして何を取り返すのか。
手術の場面は生々しい。
顔を剥がすところは肉肉しい質感が伝わってくるし、
髪質を変え、お腹の脂肪を除去し、
マイクロチップで音声を変える。
現実的には瞳の色とか指紋とか、
利き腕利き足とかもあるだろうが。
本来は23世紀頃の設定だったらしいが、
その頃なら特別な手術ではないかもしれないという事で、
設定を現代に変えたようだ。
アクションシーンも凄まじい。
冒頭の中型ジェット機とのチェイスも本物の機体と車両を使った。
当時はまだ生身のアクションが多かった。
そしてガンアクションが派手・・・というか美しいという表現が合う。
冒頭のチェイス後の銃撃戦で向き合うキャスターとショーンの所作。
脱獄の時の銃撃戦は硫酸とかを使ってチョットやりすぎかもしれない。
キャスターの仲間の所へ身を隠したショーン(見た目はキャスター)、
そこへキャスター(見た目はショーン)が引き連れた特殊部隊が襲撃をかける。
スローモーションを多用した演出になるわけだが、
印象的な場面は、
ショーンとキャスターが鏡で出来た壁越しに銃を向け合う場面だ。
銃を向け合う二人。
鏡に映るのは憎き姿。
まさにフェイス・オフする瞬間だ!https://news.mynavi.jp/article/20140119-a008/
火を噴く銃口。
自分は何者で、そして倒すべきは誰なのか。
最終決戦への火ぶたは切って落とされる。
この場面はホント、痺れます!
そして教会から始まる最後の戦い。
キャスター(見た目はショーン)はショーンの家族を呼び寄せて、
人質に利用する。
銃撃戦に巻き込まれる娘のジェイミー。
父親じゃない人が自分を助け、
父親の姿をした人が構わずに銃を撃ってくる。
もみ合うショーンとキャスターにジェイミーは拾った銃を向ける。
その最中、ショーン(見た目はキャスター)の喉のマイクロチップが外れ、
両方ともショーンの声になる。
二人から発せられる「こいつを撃て!俺が父さんだ!」の声。
混乱したジェイミーが発した銃弾はショーン(見た目はキャスター)の腕をかすめる。
そしてキャスター(見た目はショーン)はジェイミーを捕まえ、
ジェイミーの頬を舐め、ショーン(見た目はキャスター)を挑発する。
この瞬間はジョン・トラヴォルタを殴りたくなるだろう!
この時ジェイミーはキャスター(見た目はショーン)から譲り受けていたナイフがあった。
「自分の身は自分で守れ。一度刺したら、えぐってやれ!」と言われ、
この場でやってのけた!
キャスター(見た目はショーン)は悲鳴をあげたが、逃亡する。
そして最後はモーターボートのチェイス。
まさに手に汗握るとはこの事だ!
興奮のあまり、アクションシーンを長く書いたが、
この映画で涙を誘うのは、
ショーン(見た目はキャスター)が脱獄し、
自宅へ戻った時、妻のイヴに見つかる。
イヴにとってその姿は息子を殺したテロリスト。
発狂しそうになるが、
ショーン(見た目はキャスター)は医者であるイヴに、
病院でキャスターの血液を調べさせる。
眠るキャスター(見た目はショーン)の腕に針を刺し、
急患と偽り病院へ向かうイヴ。
血液検査の結果、夫の姿をした男の血液は別人の物だった。
そこへ姿を現したショーン(見た目はキャスター)へ銃を向けるイヴ。
何を信じたらよいか分からない。
そこでショーン(見た目はキャスター)はある女性とのデートのエピソードを涙ながらに語る。イヴとのデートだ。
彼女は事の事実を理解し、ショーンに協力する。
そして最後の戦いに挑む。
家族は取り戻した。
後は正義と、そして本当の自分の姿を取り返す!
この映画で素晴らしいのはアクションやテーマ、ストーリーは勿論ではあるが、
何よりニコラス・ケイジとジョン・トラヴォルタの演技だ。
二人は撮影前、数週間を共に過ごし役作りをした。
話し方、所作、癖等を見たうえで撮影に臨んでいたという。
顔を奪われ、恐怖に震えるニコラス・ケイジ。
顔を奪い、ショーンとしての生活を満喫するジョン・トラヴォルタ。
この配役が逆だったらずいぶん違う映画になってしまったかもしれない。
これが良かったと思う。
私の登録している映画専門のSNSではリピーターが多く、
「最高!」との評価が多い。
もう23年の時間が過ぎているので、
もしかしたそろそろリメイク、なんて事もあるかもしれませんね。
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